【要約】思考の整理学|6つに分けて、各章要約!

東大・京大で1番読まれたと言われている、外山滋比古さんの「思考の整理学」をご紹介する記事です 思考法

SNSもよく見るし、LINEやメールも毎日たくさん来る…

最近こんなことはありませんか?
  • 見たい動画は見ても、追いつかない
  • 友達や有名人のSNSを見て疲れてしまう
  • よく分からないけど、思考が忙しい

あなたは「情報過多」に疲れてませんか?
日常生活、情報が溢れているからしょうがない….


そんな頭の中を「整理」するときに、
参考にしたい1冊をご紹介します。

思考の整理学 | 外山滋比古


初めて出版された1983年から現代まで、
ず~っと読み続けられている名著。
東大・京大で一番読まれたとも言われています。

ブックカバーに書かれている、キャッチコピーは見たことある人いるかもしれないですね!

この記事では、
『思考の整理学』のスゴイところから、
本の内容までを紹介します!

それと同時に、
危機感も覚えてしまうかもしれません。

文庫本で200ページ強ですが、
大切なことがギュギュっと凝縮されているので、
気になった方は是非一度お手に取ってみてください。

この本、スゴい。

「もっと若い時に読んでいれば……」

そう思わずにはいられませんでした。

元・さわや書店 松本大介さん

このキャッチフレーズで有名な1冊でもあります。

ここがスゴい!
  1. 1983年から今まで、売れ続けている
  2. 例え話が身近で、分かりやすい
  3. 最近よく聞く○○思考も、この本に詰まっている

何よりもビックリするのは、1983年に出版されて
今なお売れ続けているということ。
(1983年刊行、1986年文庫化)

2016年には30年目にして200万部を突破、まさに時代を超えて読み継がれています。(2020年3月11日現在 122刷 累計発行部数245万3,400部)

株式会社筑摩書房 プレスリリースより

また、難しいそうなタイトルですが、
意外と分かりやすいんです!

それは、とても身近なものに例えられているから。

後ほど出てきますが、
 「飛行機」
 「グライダー」
 「ビール」
 「工場」
 「倉庫」などなど…
(グライダーだけ怪しかったけれど、調べたらすぐ分かります)

マトリクスにしてみると、こんな感じです。

「思考の整理学」は古くて、分かりやすい象限に位置しています。
思考の整理学を表に置いてみると?

最近よく聞く、「アート思考」や「メタ思考」も
この本の中では触れられています。

こちらの本も一緒に読めば、理解が深まるはずです。




こんな人におすすめ

  • シンプルに生きたい人
  • 思考が忙しくなりがちな人
  • 思考の本は難しいと思っている人
    (この記事では図解あり)

1章ずつポイントをピックアップしていきますので
気になったら、ぜひ本を手に取ってみてください。


各章解説

ここからは章ごとに分けて
ポイントを図解していきます。

  1. 飛行機型人間に寄せていこう
  2. アイデアは寝かせる、熟成させる
  3. メタ化・抽象化で洗練させる
  4. 創造のために、忘れよう
  5. 話してみると・・・
  6. まとめ

Ⅰ 飛行機型人間に寄せていこう

この本では、グライダー飛行機のような人間となるには、どういうことを心がければよいかを考えたい。

思考の整理学 P.15(グライダー)

私たちは、「グライダー」でもあり、
飛行機」でもあります。

しかし、「グライダー」に偏った人が多いことに、
著者の外山さんは危機感を覚えていました。

なんで?

グライダー専業では安心していられないのは、コンピューターというとびぬけて優秀なグライダー能力のもち主があらわれたからである。

思考の整理学 P.15(グライダー)

コンピューターの出現がカギみたいです。

グライダー人間はどんどんコンピューターに
仕事を奪われてしまいます。

仕事なくなっちゃうのは怖いな~。

そもそも「グライダー」とは、
動力を持たない航空機なので、
自力で離陸が出来ません

離陸するときは、飛行機に引っ張ってもらい、
一緒に離陸した後に上空でロープを切り離して滑空。

この状態を外山さんは、
日本の学校教育と重ねて表現しました。

グライダーと飛行機の例え。身近なものに例えてくれるのが、この本の分かりやすさのポイントです。
グライダーと飛行機の比較

先生に引っ張ってもらいながら、
言われた通りのことをする
(違うことをすると注意される)。

そうすると、いつの間にか
学ぶことに対して「受け身」になっていたり、
知識ばかりで血肉になっていなかったりします。

これからは、自力で「創造」や「行動」
していくことが大切なのに、です。

では、どうやったら「飛行機」人間に
近づくことができるのでしょうか?

実は昔の日本ではすでにやっていました。

入塾してもすぐには教えずに ”じらす” ことで、
教えを ”盗もう” と、自発的に学ぶ仕組みができていたのです。

「朝飯前」の活用方法

また、自分なりの ”朝飯前” をつくることでも、
飛行機人間に近づけます。

”朝飯前”って、
なんだか頭がスッキリしていませんか?

この時間をいかに長くしていくかを考えた結果、
外山さんは1日2回の ”朝飯前” をつくりだしました。

すごすぎる…

生活のリズムをコントロールすることで、「朝飯前」を1日2回つくる。消化に血液を使わず、集中力UP!
朝飯前を2回つくる、という発想が面白いですね。

会社にお勤めの方は
なかなか難しいタイムスケジュールですが

年末年始の時間や
フリーの方は試してみるのも良いですね!

Ⅱ アイデアは寝かせる、熟成させる

ずっと考えても、アイデアが出て来なかったり、

全然関係ない時に、むしろ忘れたころに
アイデアが降ってくることありますよね?

見つめるナベは煮えない

思考の整理学 P.32(醗酵)

と本のなかで書かれているように、
同じところばかりを見ていても思考は熟しません。

元とは異質のものが、変化を加える
「キッカケ」「ヒント」になり、
発酵を始めていきます。

この部分をビールに例えていて、
とても分かりやすかった!

「思考の整理学」の中でアイデアの生み出し方は、ビールの醸造に例えられています。
思考が発酵してから、出来上がるまで

必要なものが揃いさえすれば、

熟したテーマは、向こうからやってくる

思考の整理学 P.33(醗酵) フランスの文豪バルザックのことば

から、寝かせることや
忘れてしまうことが大切なんだそうです
(たしかに…)。

ただ、ビールと違うのは
どれくらい時間をかけてたら良いか
決まってない、分からないこと。

ビールだったら最適な時間がある程度分かりますが、
思考はその人によって、場合によって異なります。

ただ、

醗酵が始まったとなれば、それを見すごすことは、まずないから安心してよい。

思考の整理学 P.32(醗酵)

とのことなので、
自分の心のワクワク感を大切にしましょう。

 

頭の中のカクテルを作るには、自分自身がどれくらい独創的であるかはさして問題ではない。もっている知識をいかなる組み合わせで、どういう順序に並べるかが緊要事となるのである。

思考の整理学 P.51(エディターシップ)

音楽家の坂本龍一さんも「天才」という訳ではなく、持っている膨大な「知識」「教養」の組み合わせで思考しているそうです(「本の使い方」より)


Ⅲ メタ化・抽象化で洗練される

思考の整理には、平面的で量的なまとめではなく、立体的、質的な統合を考えなくてはならない。

思考の整理学 P.78(情報の”メタ化”)

Ⅱで出て来た思考を、
どうやってまとめていくのでしょうか?

この章では、整理の思考法や
実際にどんな方法が使えるのかが分かります。

「メタ化」「抽象化」がキーワード。

抽象化が難しく感じてしまう方には、
こちらの2冊が参考になるかもしれません。

「具体と抽象」は、
余白が多く4コマ漫画で表現されているので、
初心者の方にも読みやすく、おすすめです。



思考を整理するポイントは、
具体的に出てくるアイデアを
抽象化してまとめていくことです。

思考を整理するポイントは、具体的なアイデアを、抽象化していくこと。メタ化、メタ・メタ化。
具体・抽象の階層の図

では、実際にどうやっていくのでしょうか。

本書では…

  • 新聞のスクラップ
  • カード
  • アイデアノート
  • メタノート
  • つんどく法

などがあります。

メタノートとは、アイデアノートにメモしたものを
整理してまとめ直したもの。

つんどく法は、
テーマとなる本(10冊くらい)を一気に読み、
メモは取らずに頭の中に入れる。

もちろん忘れてしまうことの方が多いけれど、
全体像がつかめますし、残ったものに価値があります。

忘れてよいと思いながら、忘れられなかった知見によって、ひとりひとりの知的個性は形成される。

思考の整理学 P.95(つんどく法)

Ⅳ 創造のために、忘れよう

さらに新しいアイデアを生み出すためには、
どうしたらよいのでしょうか?

頭をよく働かせるには、この ”忘れる” ことが、きわめて大切である。頭を高能率の工場にするためにも、どうしてもたえず忘れて行く必要がある。

思考の整理学 P.115(整理)

またしても、忘れることが大切なんですね。

ここでは、人間の脳のことを
「倉庫」と「工場」に例えています。

人間の脳は、知識を蓄える「倉庫」から、新しいことを考える「工場」に移っていく必要があります。
これまでは「倉庫」知識を蓄える、これからは「工場」新しいことを考え出す、の図

倉庫にだって整理は欠かせないが、それはあるものを順序よく並べる整理である。それに対して、工場内の整理は、作業のじゃまになるものをとり除く整理である。

思考の整理学 P.112(整理)

では、実際にどうやって忘れて行くのでしょうか?

  • 睡眠
  • ほかのことをする
  • 運動(汗を流す、散歩)

たしかに、寝れば忘れてしまったり、
リフレッシュすることで、
ほかのことに集中出来ますね!

「忘れること」には、こんな意図も。

自分で思考を「古典化」していく。インプットと忘却を繰り返して、頭の中に「古典」を創り上げる図
古典化で、自分にとっての不変をつくる

自然忘却の何倍ものテンポで忘れることができれば、歴史が三十年、五十年かかる古典化という整理を五年か十年でできるようになる。時間を強化して、忘れる。それが、個人の頭の中に古典をつくりあげる方法である。

思考の整理学 P.127(時の試練)

整理とは、その人のもっている関心、興味、価値観によって、ふるいにかける作業にほかならない。価値のものさしがはっきりしないで整理をすれば、大切なものをすて、どうでもいいものを残す愚をくりかえすであろう。

思考の整理学 P.132(すてる)

とにかく書いてみることも、
思考の整理には効果的です。

メモに書き出してみる、ということは、もつれた糸を解きほぐしてくれ、純化してくれます。
メモに書き出すとは、どういうことか

頭の中で考えているだけではうまくまとまらないことが、書いてみると、はっきりしてくる。書きなおすとさらに純化する。

思考の整理学 P.139(とにかく書いてみる)


整理のためには、とにかく表現してみるといい
と外山さんは言います。

書くことだけでなく、人に聞いてもらったり、
音読してみるのも含めてです。

Ⅴ 話してみると・・・

そうなると、誰に話すかが重要になってきます。

誰でも彼でも話したらよい、
というわけではありません。

なぜかというと、思考はデリケートで、
潰されてしまうかもしれないし、
幅を狭めてしまうかもしれないからです。

だからこそ、気心が知れる人や、
業種や境遇が似通りすぎない人に話すことで、
思考が強化されていきます。

生物学的にも、近種交配は種を弱くする可能性があります。思考を強化するには、色んな人と話す方が良いです。

生物学でも同じことがいえます。

インブリーディングということばがある。同系繁殖、近親交配、近親結婚のこと。ニワトリでも同じ親から生れたもの同士を交配しつづけていると、たちまち、劣性になってきて、卵も生まなければ、体も小さくて、弱々しいものになってしまう。

思考の整理学 P.166(垣根を越えて)

Ⅵ まとめ

最後の章では、一番最初の章に戻るような形で
全体をまとめています。

社会人も、ものを考えようとすると、たちまち、行動の世界から逃避して本の中へもぐり込む。読書をしないと、ものを考えるのが困難なのは事実だが、忙しい仕事をしている人間が、読書三昧になれる学生などのまねをしてみても本当の思索は生れにくい。行動と知的世界とをなじませることができなければ、大人の思考にはなりにくいだろう。

思考の整理学 P.195-P.196(第一次的現実)
最後の章はまとめ。これまでの内容をまとめてた図です。

読書ばかりしていては、
「机上の空論」になりかねません。

それは大人の思考(=飛行機型人間)からは遠く、
グライダー人間に近づいてるだけ。

「知的活動(読書など)× 行動」が最強
ということではないでしょうか。

仕事をしながら、普通の行動をしながら考えたことを、整理して、新しい世界をつくる。これが飛行機型人間である。日本人の知的訓練が、すでにのべてきたように、多く他者に引かれてはじめて動き出すグライダータイプであったことが、第二次的現実の中での知的活動のみを認める傾向となっている。

思考の整理学 P.196(第一次的現実)

これからの人間は、機械やコンピューターのできない仕事をどれくらいよくできるかによって社会的有用性に違いが出てくることははっきりしている。どういうことが機械はできないのか。それを見極めるのには多少の時間を要する。創造性といった抽象的な概念をふりまわすだけではしかたがない

思考の整理学 P.214(コンピューター)

終わりに

名著『思考の整理学』を各章に分けて要約しました。

各章振り返り
  • Ⅰ:グライダー型より飛行機型をめざそう
  • Ⅱ:アイデアは寝かせて熟成しよう
  • Ⅲ:情報は ”メタ化” して整理しよう
  • Ⅳ:創造のために、積極的に忘れよう
  • Ⅴ:他の人に話してみよう
  • Ⅵ:飛行機型に近づこう

40年以上前にこの本を出版された、
外山滋比古さんがすごい…。

なぜ、この本が今でも読み続けられているのか
分かりましたか?

1983年(初版):コンピューターの出現
2022年(現在):AIの出現

人間の能力が何かに移り変わり続ける限り、
この本は読まれ続けると思いました。

コンピューターやAIの台頭で、人間の能力が代替されつつあります。私たちはどう生きるのか?

機械やコンピューターが現れても、
人間らしく生き続けるためには、
飛行機型人間」であることが大切だ、
と外山さんは伝えています。

自力で考えて、
独創的な創造的な思考ができるようになり、
変化にも負けない強さを
生み出してくれるのではないでしょうか。

章立ても細かく、
コンパクトにまとめられているので
とても読みやすい1冊でした。

気になった方は
一度手に取ってみてくださいね。


大きめの活字で読みたい方は、こちらから↓


それでは、またお会いしましょう。

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